先日、複数の物件を持つ建設会社の社長からこんな連絡が来ました。「毎年何も考えずに固定資産税を払ってきたんですが、税理士から『一度明細を確認した方がいい』と言われて。実際に調べたら、3棟分の評価がおかしかったんです」と。

結果として、過去に遡れる分だけでも数十万円の還付が認められました。毎年5月、見慣れた通知書が届くたびに「今年も払う時期か」と何となく処理していたのです。気づかないまま年月が過ぎれば、それだけ損をし続けることになります。

固定資産税は「黙って払うと損」な税金

固定資産税は、市区町村が土地や建物を評価して課税する地方税です。法人が複数の物件を持っている場合、年間の総額が数百万円規模になることも珍しくありません。

問題は、この評価が必ずしも正確とは限らない点です。市区町村の職員が机上で計算するケースも多く、建物の実際の床面積や築年数が誤って登録されていることがある。さらに、本来受けられるはずの特例が適用されていないこともあります。こうした積み重ねで、年間100万円以上の払いすぎが生じるケースも実際に起きています。

今すぐ確認すべき3つのポイント

固定資産税を見直すとき、まず押さえてほしいことが3つあります。

1. 課税明細の数字は実物件と合っているか

毎年届く納税通知書には「課税明細書」が同封されています。そこに書かれている床面積や築年数が、実際の物件と一致しているかを確認してください。

「まさかそんな基本的なことが間違っているわけがない」と思うかもしれませんが、増改築後に登記を変更していないケース、倉庫を増築したけれど届け出が漏れていたケースなど、実態と評価がズレている例は意外に多いです。床面積が10㎡単位で間違っていたという話も、珍しくはありません。

2. 賃貸住宅の土地に住宅用地特例が適用されているか

賃貸用の集合住宅(アパートやマンション)の土地には、「住宅用地特例」という制度があります。1戸あたり200㎡以下の部分は課税標準額が6分の1、それを超える部分は3分の1になるという、かなり効果の大きい軽減措置です。

ところが、この特例が正しく適用されていない場合があります。建物の構造変更や用途変更後に更新申告が必要なケースを見落としているオーナーは少なくありません。毎年黙って支払っていると、特例が消えていても気づかないまま数年が過ぎてしまいます。

3. 耐震・省エネ改修後の減額申請を出しているか

建物の耐震改修や省エネ改修を行った翌年度から、一定期間にわたって固定資産税が減額される特例があります。改修の内容にもよりますが、建物部分の税額が2分の1になるケースもあります。

問題は、この特例は「申請しなければ受けられない」という点です。工事が完了しても、市区町村に申告書を提出しなければ特例は適用されません。施工業者から案内がないことも多く、知らないまま損をしているケースが後を絶ちません。

見落としがちな「申し出期限」の話

固定資産税の評価に誤りがあると気づいたとき、何でも遡って還付してもらえるわけではありません。

評価額に異議を申し出るためには、納税通知書が届いてから3か月以内に「固定資産評価審査委員会」へ審査申出書を提出する必要があります。5月に通知書が届く自治体が多いので、8月頃が実質的な期限になります。この期限を過ぎてしまうと、今年分の評価については争えなくなります。

「気づいたのが秋だった」「税理士に相談したら11月だった」というケースでは、翌年の通知書が届くまで待つしかありません。毎年5月は、ただ「払う月」ではなく「確認する月」と捉える意識が大切です。

複数物件を持つ法人こそ、早めに動く

物件が1棟だけなら見直しのインパクトは限定的かもしれませんが、5棟・10棟と保有している法人の場合、1棟あたり数十万円の過払いがあれば合計で年間数百万円の差になります。

しかも、この手の見直しは「一度やれば済む」話でもありません。建物の用途変更、改修工事、売却後の申告漏れなど、毎年新しい論点が生まれる可能性があります。年次でチェックするフローを社内に作っておくことが、長い目で見ると最も合理的な対策です。

固定資産税の通知書が届いたら、金額を確認するだけでなく、課税明細を数分眺める習慣をつけてみてください。特に賃貸物件を複数保有している法人オーナーは、今月中に一度見直すことを強くおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。