年商3億円の建設会社の社長から、決算3週間前にこんな相談が来ました。「今期は利益が出すぎてしまって、まだ何か打てる手はありますか」と。

いくつか選択肢を挙げましたが、その中で今回あえて「不動産」の話をしました。多くの社長がイメージする「不動産投資」とは、少し違う話です。

築22年超の木造物件が持つ「特殊な武器」

法人で中古不動産を購入した場合、建物の耐用年数は「中古計算式」で短くなります。木造の法定耐用年数は22年ですが、すでにそれを超えた物件は「22年×20%=4年」という計算式が使えます。

つまり、4000万円の築古木造物件を法人名義で購入すると、4年間にわたって毎年1000万円を減価償却費として経費に落とせます。実効税率34%で試算すると、年間340万円の節税、4年合計では1360万円以上の差が生まれます。

これは特別な裏技ではなく、税法上正式に認められた仕組みです。新築や築浅物件では絶対に得られない、中古ならではのメリットです。

3月決算の社長に残された時間は今月末まで

この節税を今期に活かすためには、物件の引き渡しが決算日(3月31日)までに完了していることが絶対条件です。売買契約を締結しているだけではダメで、所有権移転と引き渡しが完了している必要があります。

融資を使う場合は銀行の審査に1〜2ヶ月かかることもあります。現金決済でも、物件の選定・デューデリジェンス・契約手続きを考えると、今この瞬間に動き始めなければ今期は諦めるしかありません。

「来期こそやろう」と先送りしているうちに、隣の会社と1000万円単位の差がついていきます。

節税後の出口設計も事前に考えておく

4年の償却が終わった後、この物件をどうするか——これを最初から考えておくことが重要です。

売却すれば売却益は法人の利益として課税対象になります。一方で、4年間の節税効果とトータルで比較すると、キャッシュフローはプラスになるケースが多いです。賃貸収入を得ながら長期保有するという選択肢もあります。

どのシナリオが最適かは、物件の立地・市況・会社の資金繰りによって異なります。「買えばいい」ではなく、「買った後をどう設計するか」まで考えてから動くのが正解です。

タイムリミットに最も厳しい節税手法だからこそ

3月決算の法人節税の中で、不動産は最も大きなインパクトを出せる手法の一つです。ただし同時に、最もタイムリミットに厳しい手法でもあります。

設備投資や消耗品の購入と違って、不動産は「今日決めて明日引き渡し」とはいきません。だからこそ、動ける時間がある今のうちに選択肢として持っておくことに意味があります。

今期の利益が大きくなりそうで、手元資金に余裕があるなら、今すぐ顧問税理士に「築古木造物件での節税シミュレーション」を依頼してみてください。物件探しの前に、まず数字の確認から始めるのが正しい順序です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。