先日、年商10億円ほどの建設会社を経営する社長から、こんな相談を受けました。
「今期、珍しく利益が出すぎてしまって。決算まであと3ヶ月あるんだけど、何かいい手はない?」
そこで私が真っ先に話したのが、太陽光発電付き物件の即時償却という方法です。「不動産=減価償却が遅い」というイメージをお持ちの方は多いと思いますが、太陽光設備に限っては、まったく別のルールが適用されます。
通常の建物と、太陽光設備では「償却スピード」が全然違う
一般的な建物(鉄筋コンクリート造など)は、耐用年数が47年あります。つまり1億円の建物を買っても、毎年経費にできるのはざっくり200万円ほど。黒字を大きく削るインパクトとしては、正直物足りない。
ところが、太陽光発電の設備は話が変わります。
「再生可能エネルギー事業者支援税制」という制度のもと、一定の要件を満たせば取得費用の最大100%を、取得した年に一気に経費として落とすことができます。これが「即時償却」です。
たとえば1億円の太陽光発電付き物件を購入したとして、そのうち設備部分が2000万円あったとします。通常の減価償却なら数年かけて少しずつ経費化するところを、即時償却を使えば初年度に2000万円を丸ごと経費として計上できるわけです。
法人税率をおよそ30%とすれば、単純計算で600万円の節税効果が生まれます。利益が多い年であれば、その威力はさらに大きくなります。
節税しながら、物件自体がお金を稼いでくれる
ここが太陽光物件の面白いところで、節税だけが目的じゃないんです。
太陽光発電設備は、稼働している間ずっと売電収入を生み出してくれます。FIT(固定価格買取制度)を活用すれば、一定期間は固定価格で電力会社に買い取ってもらえるため、安定したキャッシュフローが見込めます。
つまり構造としては、こういうことです。
- 購入初年度:設備費を即時償却して法人税を大幅に圧縮する
- 翌年以降:売電収入が毎年キャッシュとして入ってくる
節税しながら資産が収益を生む、という「二刀流」の設計になっています。社長が「節税のためだけに経費を使う」という感覚と違い、物件自体が財務的な意味を持つのが大きな魅力です。
「黒字が多い年」に買うのが鉄則
即時償却の効果を最大限に引き出すためには、タイミングが重要です。
当たり前のようで見落としがちなのですが、即時償却で経費が増えても、そもそも利益(課税所得)がゼロに近い年であれば節税効果は限定的です。節税というのは、かかるはずの税金を減らす行為なので、税金が発生している年に実施してこそ意味がある。
逆に言えば、「今期は珍しく利益が出た」「大型の受注が重なって黒字幅が大きい」という年こそが、即時償却を活用するベストタイミングです。決算が近づいてから焦って動くより、利益の着地が見えてきた段階で早めに動き出すのが賢い対応です。
活用前に必ず確認しておきたいこと
太陽光の即時償却は非常に強力な節税手法ですが、「何でもOK」ではありません。
まず、適用できるのは「取得した年」が要件に該当する場合に限られます。税制は毎年改正されるため、現在の制度内容や適用期限を正確に把握しておく必要があります。また、設備費と建物・土地の按分をどう設定するかによって、経費化できる金額が変わってくるため、購入前の段階から税理士を交えて設計しておくことが欠かせません。
加えて、売電収入はれっきとした益金(収入)ですから、翌年以降の税務にも影響します。初年度に大きく経費を落とした分、翌年の利益が膨らみすぎないよう、全体の資金計画を立てておくことも大切です。
今期の利益が例年より大きそうだと感じている社長は、太陽光物件の活用を一度真剣に検討してみてください。「不動産は時間がかかる」という先入観を捨てると、意外と機動力のある節税手段として機能します。顧問税理士に現在の税制要件と自社の状況を合わせて確認しながら、動けるうちに動いておくのが得策です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。