先日、不動産を数棟持つ社長からこんな相談を受けました。「管理法人に管理料を払っているんですけど、税務調査でそれが否認されそうで…」と、声のトーンがいつもより低い。話を聞いてみると、家賃収入に対して25%の管理料を設定していたというんです。これ、かなり危ない水域です。

管理法人スキームは、賃貸収入を個人から法人に移して節税するための王道手法です。ただ、管理料の設定を間違えると、節税どころか追徴課税という最悪の結末を招きます。今日は、その「管理料の適正ライン」についてはっきりお伝えします。

20%を超えたら、まず疑われると思ってください

税務署が管理料を否認するとき、最初に目をつけるのが「割合が高すぎないか」という点です。たとえば月額家賃が10万円の物件で、管理料が2万円を超えているようなケースは要注意です。割合にすると20%超。これは実態のある管理業務として認められるラインを、大きく超えています。

「でも、うちの管理法人はちゃんと動いてますよ」という声も聞こえてきそうです。ただ、税務署が見るのは割合だけではなく、「その金額に見合った業務実態があるか」という点でもあります。20%を超えていると、そもそも審査のテーブルにすら乗りにくくなる、というイメージを持っておいてください。

市場の相場は、5〜10%が基準線

一般的な不動産管理会社に管理を委託した場合、管理料の相場は家賃の5〜10%程度です。この水準が、税務上の「妥当な管理料」を判断する際の基準になります。

自分が作った管理法人に対しても、この相場感は変わりません。むしろ、関連会社間の取引だからこそ、より厳しく見られると考えておくべきです。

重要なのは「実態」です。管理法人が実際に何をしているかが問われます。入居者からの問い合わせ対応、家賃の集金管理、修繕業者の手配、契約更新の手続き…こういった業務を本当にこなしているかどうか。そしてそれを証明できる書類や記録が残っているかどうか、これが決め手になります。

議事録も契約書も何もない、でも毎月管理料だけは払われている、という状態が一番危険です。

15%まで認められたケースもある、ただし条件あり

実は、管理料が10%を超えて、15%程度まで認められた事例も存在します。ただしそれには、業務内容の充実という条件がついています。

たとえば、複数の物件を一括で管理し、入居者募集から退去立会い、原状回復の手配まで幅広く担当している場合。あるいは、管理法人のスタッフが実際に物件に出向いて対応している実態がある場合。こういった状況であれば、15%前後の管理料も正当化できる余地があります。

ただし「15%までOK」という話を聞いて、すぐに15%に設定しようとするのは危険です。大切なのはパーセンテージを最大化することではなく、業務の実態に見合った金額を設定することです。10%でも20%でも、根拠があるかどうかが本質です。

書類を残すことが、最大の防御策

税務調査が入ったとき、あなたを守ってくれるのは「証拠」です。具体的には、管理委託契約書の存在、毎月の業務報告書、入居者との連絡記録、修繕業者への発注書や領収書、これらが揃っているかどうかで、税務署の見方がまるで変わります。

管理料を年間で計算すると、意外と大きな金額になります。月10万円の物件が10棟あれば、10%でも月10万円、年間120万円です。これが否認されると、数年分さかのぼって追徴課税になる可能性があります。書類整備のコストは、そのリスクと比べれば安いものです。

管理法人スキームを使っているなら、まず今の管理料の割合を確認してください。そして、その割合を正当化できる業務実態と書類が揃っているかをチェックしてみてください。もし「なんとなく20%にしてた」という状態なら、今期中に見直すタイミングです。担当の税理士と一度、管理料の根拠と書類整備について話し合っておくことを強くおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。