先日、都内でビルを一棟買いした社長からこんな相談を受けました。「築28年のRC物件を買ったんですが、税理士に『47年で償却します』と言われて…なんか長くないですか?」

その一言で、私はすぐにピンときました。これは典型的な「中古なのに新築扱い」の計算ミスです。このまま放置すると、毎年の節税額が本来の半分以下になってしまうケースもあります。

RC造の中古物件は、正しく使えば非常に強力な節税ツールです。しかし、計算方法を一つ間違えるだけで、数百万円単位の損失につながります。今回は、現場でよく見かける「もったいないミス」を3つ、ランキング形式でお伝えします。


第3位:中古なのに、新築と同じ47年で償却している

RC造(鉄筋コンクリート造)の法定耐用年数は47年です。これは新築で取得した場合の話。中古物件には、別の計算式が用意されています。

正しい計算式はこうです。「(47年 − 経過年数)+ 経過年数 × 0.2」。たとえば築30年のRC物件なら、(47-30)+ 30×0.2 = 17+6 = 23年。さらに、この計算結果が法定耐用年数の20%を下回る場合は、法定耐用年数の20%が下限として適用されます。

47年と23年では、償却スピードがまったく違います。1億円の物件なら、年間の償却額が約213万円から約435万円へと、2倍以上に跳ね上がります。同じ物件を買っても、耐用年数の設定次第で毎年の節税効果が雲泥の差になるわけです。


第2位:築年数が不明な物件を「使えない」と諦めている

「登記簿謄本を見ても建築年月日がよくわからない」「前オーナーから書類が引き継がれていない」——こういう相談も意外と多いです。

でも実は、築年数が不明な物件でも、短縮した耐用年数で償却できるルールがあります。書類で経過年数を証明できない場合、法定耐用年数の20%に相当する年数を耐用年数として使うことができるのです。

RC造なら、47年 × 20% = 約9年。これは非常に短い。つまり、数千万円の物件を9年で償却できる可能性があるということです。毎年の償却額は相当な額になり、課税所得を大きく圧縮できます。

「築年数がわからないから節税に使えない」と諦めていた社長は、一度税理士と一緒に再確認することをおすすめします。


第1位:短い耐用年数を、個人で使って終わらせている

ここが一番もったいないポイントです。

上記の計算で耐用年数を短くできたとして、それを個人(所得税)で活用するか、法人(法人税)で活用するかで、節税効果はまったく変わります。

日本の所得税は累進課税です。給与所得や事業所得がすでにある社長の場合、個人の実効税率は30〜50%に達することも珍しくありません。一方、中小企業の法人税率は、所得800万円以下なら約23%(地方税込)です。

たとえば同じ1,000万円の償却費が出たとして、個人で節税すれば300〜500万円の税負担減。法人で節税しても約230万円の税負担減。これだけ差があります。逆に言えば、個人より税率が高い場合は法人で持つ方が有利なケースもあります。社長の役員報酬水準や会社の利益規模によって最適解は変わりますが、「なんとなく個人で買い続けている」という方は、一度立ち止まって考える価値があります。

RC中古物件という節税ツールの切れ味は本物です。でも、どの「鞘」に収めるかで威力が変わる——そう覚えておいてください。


今期の決算前に、一度確認してみてください

今回お伝えした3つのミスは、どれも「知っていれば防げた」ものばかりです。すでにRC中古物件を保有している社長は、今の耐用年数設定が正しいかどうか、今期の決算前に税理士と一緒に見直してみてください。

特に「47年で償却中」「個人名義で持っている」という方は、要注意です。場合によっては過去の申告を修正することも選択肢に入ってきます。

節税は「知っている人が得をする」世界です。正しい知識を持った上で、ぜひ次の一手を考えてみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。