先日、複数の物件を持つ製造業の社長と話していたとき、こんな一言が出ました。「毎年固定資産税を払ってるけど、そういえば金額って誰も確認したことないな」と。

その言葉をきっかけに調べてみると、工場と倉庫で合計4棟。3年分の評価額を精査したところ、約320万円の過払いが発覚しました。こういうケースは、決して珍しくありません。

固定資産税は「異議申し立て」で取り戻せる

固定資産税は、市区町村が算定した「評価額」をもとに計算されます。この評価額に誤りや過大な算定があれば、異議申し立て(正式には「審査申出」)で過払い分を還付してもらえる制度があります

税務署はこれを積極的には教えません。申請がなければ過払いはそのまま市区町村の収入になるからです。制度は存在するのに、使われないまま時効を迎えているケースが山ほどあります。

なぜ評価額はズレるのか

固定資産税の評価額は、3年に一度の「評価替え」で見直されます。この3年サイクルの間は、通常は金額が変わりません。

問題は、評価替えの際に建物の劣化状況や周辺地価の変動が正確に反映されないことがある点です。老朽化した工場や、地価が下落したエリアの物件では、実態より高い評価額が維持されたままになることがあります。

評価担当者の計算ミスや、建物の構造・用途の誤認識によってズレが生じるケースも実際にあります。商業ビルや工場のように評価が複雑な物件ほど、その可能性は高くなります。

申請手順:シンプルな3ステップ

1. 毎年5月の納税通知書を受け取る
通知書に評価額が記載されています。まずここを確認します。

2. 3か月以内に「審査申出書」を提出する
申請先は市区町村の「固定資産評価審査委員会」です。納税通知書を受け取った日から3か月以内が期限で、これを過ぎるとその年の申請はできません。

3. 評価額の過大を示す根拠資料を用意する
周辺の地価データや類似物件との評価額比較など、過大評価の根拠を示すことで認められやすくなります。税理士や不動産鑑定士に依頼するケースが一般的です。

物件が多いほど還付額は大きくなる

1棟あたり年間数十万円のズレでも、5棟・10棟と積み重なれば3年分で数百万円になります。法人が複数の物件を保有している場合、3年分の還付額が500万円を超えたケースも実際にあります。

また、申請が認められると次の評価替えまでの3年間、修正後の評価額が継続して適用されます。長期保有物件ほど、一度見直すリターンは大きくなります。評価替えのサイクルを考えると、今年見直すか3年後に見直すかで、取り戻せる総額が変わってきます。

今年の通知書、まだ手元にありますか?

5月に届いた固定資産税の納税通知書は、多くの会社でそのまま経理に回して終わりになっています。でも、その封筒の中に「3年分の還付請求権」が眠っている可能性があります。

3か月の期限を過ぎると、今年分はもう申請できません。「来年また確認しよう」では取り戻せないお金になります。

複数の物件を保有している社長は、今すぐ通知書を引っ張り出して、評価額を税理士と一緒に確認してみてください。過払いが判明すれば、申請にかかるコストを差し引いても十分なリターンになることがほとんどです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。