先日、年商3億円の不動産賃貸業を営む社長から、こんな相談を受けました。「もう3月なんですけど、今からでも税金を減らせますか?」\n\nその方は顧問税理士から「今期はそこそこ利益が出ていますね」とは言われていたものの、具体的に何が打てるかは教えてもらっていなかったそうです。\n\n正直に言うと、3月決算の会社にとって、この時期は”最後のチャンス”です。動くかどうかで、今期の法人税負担がかなり変わってきます。今回は、3月決算の会社が今すぐ使える、不動産絡みの節税手法を3つお伝えします。\n\n## 修繕費を「今月中に完了」させる\n\n物件や設備の修繕工事は、完了した期の経費として計上できます。3月決算であれば、3月31日までに工事が完了していれば今期の損金に算入できるということです。\n\n特に重要なのが金額の基準です。1件あたりの修繕費が60万円未満であれば、原則として全額を修繕費(損金)として計上できます。資本的支出として資産に計上する必要がなく、そのまま経費として落とせます。\n\n「思い当たる修繕なんてない」という方も、物件を持っているなら外壁の軽微なひび割れ補修、駐車場の舗装、設備のメンテナンスなど、探せば出てきます。30〜50万円の修繕を2〜3件まとめれば、それだけで100万円単位の経費になります。ただし「決算対策のための無理な発注」と見なされないよう、実際に必要な修繕であることが前提です。\n\n## 動かなくなった設備を「帳簿から消す」\n\n次に、意外と見落とされているのが除却損の計上です。\n\nまだ帳簿に残っている設備が、実際にはもう使っていない、あるいは壊れて動かないという状況はありませんか。そういった設備を今期中に廃棄すれば、未償却残高を全額損失として計上できます。\n\nたとえば、6年前に購入したエアコンの帳簿価額が80万円残っていて、実際には使っていないなら、廃棄することで80万円の除却損が発生します。キャッシュが出ていくわけではなく、廃棄という事実だけで経費が生まれる手法です。\n\n注意点は、廃棄した証拠をきちんと残すことです。廃棄業者の領収書や産業廃棄物管理票などを保管してください。帳簿から消しただけでは認められません。税務調査で指摘されないためにも、書類整備はセットで行うことが大切です。\n\n## 30万円未満の設備は「まとめて即時償却」\n\n3つ目は、中小企業だけに認められた特例です。\n\n30万円未満の少額減価償却資産については、取得した年度に全額を損金算入できます。通常であれば数年かけて減価償却するところを、購入した年に一括で経費にできるわけです。年間の合計上限は300万円。不動産に付帯するエアコン、照明、防犯カメラ、インターホンなど、29万円台で購入すれば一台ずつ全額経費になります。\n\nポイントは「3月中に取得が完了していること」です。発注しただけでは不十分で、実際に設置が完了して使える状態になっていることが条件です。今から動くなら、業者に設置完了日を確認してからスケジュールを組んでください。\n\n## 3手法を組み合わせると、どうなるか\n\n修繕費の前倒しで150万円、除却損で80万円、即時償却で200万円。これだけで合計430万円の追加損金が生まれます。利益が出ている会社であれば、法人税の実効税率が30〜35%前後ですから、節税効果は130〜150万円規模になります。\n\nもちろん、効果は所得の規模や資産の状況によって変わります。今期どのくらい利益が出ているかを把握した上で、どの手法をどの規模で使うかを設計するのが、3月決算ならではの動き方です。\n\n## 動くなら今月中に\n\n工事の完了、設備の廃棄、新規設備の取得、いずれも3月31日が期限です。今月動き始めれば間に合う手がまだあります。\n\nまずは自社の物件や設備を見渡して、修繕が必要な箇所や使っていない設備がないか確認してみてください。そして担当の税理士に「今月中に打てる手はありますか?」と一言聞いてみるだけで、見落としていた選択肢が出てくることがあります。税務署は自分からは教えてくれませんが、質問すれば答えてくれる人はそばにいるはずです。\n\n※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。