先月、ある社長から決算前にこんな連絡が来ました。「今期、利益が3,000万円くらい出そうで、税金がしんどい。何か手を打てない?」

利益が出ることは喜ばしいことですが、法人税の請求書が頭をよぎると気持ちが重くなるのも正直なところですよね。こういった相談の中で、即効性という意味で最も強力な手段のひとつが、法人で中古不動産を購入するという方法です。

築古物件には「4年で償却できる」ルールがある

建物は購入した年から毎年少しずつ費用として計上していきます。これが減価償却です。新築の木造物件であれば法定耐用年数は22年ですが、築25年を超えた木造物件は残存耐用年数の計算上、わずか4年になります。

つまり、建物部分が3,600万円の築古木造物件を購入したとすると、1年分の減価償却費は約900万円。この900万円が丸ごと損金として認められるわけです。税務署がわざわざ教えてくれるような話ではありませんが、法律のルールに沿った完全合法の節税です。

300万円という数字はどこから来るのか

先ほどの社長の例で具体的に計算してみましょう。

今期の利益が3,000万円。そこに建物3,600万円の築古木造物件を購入すると、年間の減価償却費は900万円です。課税所得は3,000万円から900万円を引いた2,100万円に圧縮されます。

実効税率33%で計算すると、法人税の差額はおよそ297万円。ほぼ300万円です。しかも現金が不動産という資産に替わるだけなので、手元の資産が消えるわけではありません。税を払いながら資産を積み上げるのと、資産を持ちながら税を下げるのでは、長期的な会社の体力がまったく変わってきます。

決算ギリギリに動いても効果は激減する

ここが最も重要なポイントです。減価償却は「購入した月から」計上が始まります。決算月に滑り込みで購入しても、その期に計上できるのはたった1ヶ月分です。

3,600万円の物件で年間900万円の償却だとすると、1ヶ月分はわずか75万円。節税効果は300万円どころか25万円程度にしかなりません。「決算が近づいてから考えよう」では手遅れになります。

物件の選定、売買契約の締結、そして引き渡しまでを考えると、最低でも決算の2ヶ月前には動き始める必要があります。実際には3ヶ月前から動いてちょうどいいくらいのスケジュール感です。

物件選びで気をつけておきたいこと

減価償却の対象になるのは建物部分だけです。土地はどれだけ古くても償却できません。物件を選ぶ際には、土地と建物の価格内訳を必ず確認してください。建物比率が高い物件ほど節税効果が大きくなります。

また、この手法は長期保有が前提です。短期で売却して売却益が出ると、今度はそこに課税されます。節税のために買った物件が課税の原因になる、というのは避けたいところです。5年以上の保有計画を持って取り組むのが基本的な考え方です。

資金繰りの確認も欠かせません。不動産の購入にはまとまった資金が必要です。手元の現金フローと、金融機関からの融資の可否を事前に確認しておくことが前提条件になります。

「利益が出そうだ」と気づいた瞬間が動きどき

法人税の節税は、利益が確定してしまってからでは打てる手が激減します。今期の着地が読めてきた段階、つまり「利益が出そうだ」と気づいた瞬間から動けるかどうかが勝負です。

決算まで2ヶ月以上あるなら、今すぐ税理士に相談して物件探しと並行して動くことをお勧めします。築古木造物件の4年償却を知っている社長と知らない社長では、同じ利益でも手元に残るお金が数百万円単位で変わってきます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。