先日、法人名義で賃貸マンションを3棟持つ社長から、こんな相談を受けました。「うちの税理士、毎年同じことしか言わないんですよね。なんか他に節税できることってないですか?」

話を聞いてみると、計上できるはずの経費がいくつも抜け落ちていました。試算してみると、年間200万円以上の経費が未計上のまま。実効税率34%で計算すると、68万円以上の税金を余分に払っていた計算になります。

「法人で不動産を持っているから節税できている」と思っていても、実は経費の取り方次第でまだまだ差が出ます。今回は、見落としやすい「隠れ経費」を5つご紹介します。

建物・設備を「附属設備」で区分する

建物本体と附属設備をまとめて処理してしまっている会社は意外と多いです。エアコン、照明、給排水設備などは「附属設備」として分けることで、耐用年数が大幅に短くなります。建物本体がRC造なら47年ですが、電気設備や給排水設備は15年程度。早く償却できる分、当期の経費が増えます。

取得時の原価を適切に按分し直すだけで、減価償却費が一気に増えるケースもあります。特に築年数が経っている物件ほど、この区分見直しの効果が出やすいです。

修繕費は「資本的支出」と切り分けて即時経費化

修繕の費用が20万円未満であれば、原則として修繕費として全額その期に経費計上できます。また、3年以内に周期的に発生する補修も同様です。外壁の小規模補修、クロスの張り替え、水回りの交換など「原状回復」の範囲内であれば修繕費と認められるケースが多い。

注意点は、60万円未満でも「明らかな価値向上」を目的とした工事は資本的支出とみなされる場合があること。金額だけで判断せず、工事内容を押さえておくことが大切です。

物件視察の旅費を旅費規程で経費化する

法人名義の不動産を管理・視察するための交通費や宿泊費は、当然に経費になります。地方物件への視察出張、購入候補地の現地確認、テナント対応のための往復交通費など、業務関連性のある移動はすべて対象です。

ここで差がつくのが「旅費規程」の有無。規程があれば実費精算に加えて日当も支給でき、法人側は経費、個人側は非課税という扱いになります。年間を通じると数十万円の差が出ることもあるので、旅費規程がまだない会社は今期中に整備しておくのがおすすめです。

融資保証料は期間按分で毎期コツコツ経費化

不動産購入に銀行融資を使った場合、信用保証協会への保証料を支払っているケースがあります。この保証料は融資期間に応じて按分し、毎期経費計上できます。

一括で前払いした保証料を当期に全額経費にしてしまっている会社もありますが、正しくは前払費用として計上し期間按分するのが原則です。融資額が大きい物件ほど保証料の金額も相応になるので、見落としたくない項目のひとつです。

不動産に関わる専門家報酬はまとめて計上

管理会社への委託料はもちろん、税理士・司法書士・不動産鑑定士・弁護士への報酬も、不動産の取得・管理・運用に関連するものであれば経費になります。テナントトラブルで弁護士に相談した費用、物件売却時の鑑定費用なども対象です。

「これも経費になるの?」と迷ったら、「不動産の業務に関連しているか」が判断の起点。迷ったら領収書を保管しておき、顧問税理士と確認するのが確実です。


5つ合わせると、物件の規模や状況によっては年間200万円以上の経費が積み上がることも珍しくありません。「なんとなく税理士に任せているだけ」という社長ほど、こうした見落としが起きやすい傾向があります。

決算前に一度、今回の5項目を自社の状況と照らし合わせてみてください。特に旅費規程と附属設備の区分見直しは、今期から効果が出やすい対策です。顧問税理士と話し合う材料として、ぜひ活用してみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。