先月、年商3億円の建設会社を経営する社長から、こんな連絡が届きました。「顧問税理士に勧められて始めた法人の不動産節税、2026年の改正でまずいことになっているって聞いたんですが…」。
税制改正のたびに「使えなくなるスキーム」が出てきますが、2026年はとくに不動産絡みの節税に大きな打撃が入っています。「知らなかった」では済まない、税務調査で過去にさかのぼって全否認される可能性もあるので、今すぐ確認しておいてほしいのです。
第3位:タワマン節税——実は2024年からすでに封じられている
「タワマン節税」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。高層階ほど市場価格と相続税評価額(路線価ベース)のギャップが大きいことを利用して、億単位の資産を大幅に圧縮する手法です。
しかしこれ、実は2024年1月からすでに改正が施行されています。新ルールでは、相続税評価額に「市場価格の60%以上」という下限が設けられました。つまり、1億円で買ったタワマンを3,000万円として申告するような荒技は、もう通用しません。
それでも「うちはまだ古い計算で動いている」という社長がたまにいます。顧問税理士が改正を把握していなかったり、過去の試算書がそのまま使われていたりするケースです。まずは現在の評価方法を確認することから始めてください。
第2位:役員社宅スキーム——計算根拠がないと「給与課税」に
法人でマンションを購入し、社長に格安で貸す「役員社宅スキーム」は、節税策として広く知られています。法人側は減価償却と経費計上ができ、社長個人は低い賃料で住める——一見、合理的な仕組みです。
ところが、近年の税務調査では「適正賃料との差額を役員給与と認定する」ケースが急増しています。問題になるのは、賃料の計算根拠がないまま「なんとなく安く設定している」ケースです。
国税庁のルールでは、役員社宅の適正賃料は建物の固定資産税課税標準額をもとに計算する方法が定められています。この計算をきちんと実施しているかどうかが、税務調査での分かれ目です。計算書類を整備せずに続けているなら、今すぐ顧問税理士に確認を取ってください。
第1位:管理法人への所得移転——法人税法132条で丸ごと否認
最もリスクが高いのが、この「管理法人スキーム」です。不動産の管理業務を同族法人に委託し、管理費名目で費用を計上して所得を圧縮する——というやり方です。
問題は、その管理法人が実態を伴っているかどうかです。管理業務の実体がなければ、法人税法132条(同族会社の行為計算否認)によって、税務署がその取引を「なかったもの」として再計算できます。
この132条は非常に強力な規定で、過去にさかのぼった課税も可能です。追徴税額に加算税・延滞税が加わると、数百万円規模の負担になることも珍しくありません。管理契約の内容、実際の業務実態、支払いの妥当性——この3点を今すぐ見直してください。
「まだ大丈夫」が一番怖い
3つのスキームに共通しているのは、「仕組みだけが先走り、実態の整備が追いついていない」という問題です。節税そのものが悪いわけではありません。ただ、税制が変わっても古い方法を疑わずに続けることが、大きなリスクを生みます。
法人の不動産節税を使っているなら、まず顧問税理士に「2026年の改正を踏まえて、うちのスキームは現時点で問題ないか」と一言確認してみてください。それだけで相当のリスクを回避できます。税務調査は突然やってくるものです。「気になっているけど後回し」にしているなら、今期中に必ず整理しておくことをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。