先日、年商3億の建設会社を経営する社長から、こんな相談を受けました。
「先生、今期もそれなりに利益が出そうなんですが、決算まであと2ヶ月しかない。今から何かできますか?」
結論から言います。できます。そして、やるかやらないかで数百万円、場合によっては1,000万円以上の差がつくこともあります。
今回は、役員報酬と不動産の組み合わせで節税を最大化する3ステップをお伝えします。順番通りに動くことが肝心なので、最後まで読んでください。
第3位:役員報酬の水準を今期中に見直す
まず押さえておきたいのが、個人の税率の高さです。
役員報酬として受け取った場合、所得税と住民税を合算すると最高税率は55%になります。年収2,000万円を超える社長だと、稼いだお金の半分以上が税金として消えていく計算です。
「わかってはいるけど、今さら役員報酬は変えられない」という声をよく聞きます。
ただ、役員報酬には「事前確定届出給与」という制度があります。これを活用すると、定時改定のタイミング以外でも役員報酬の調整が可能になるケースがあります。期中でも手が打てる選択肢があることは、覚えておいて損はありません。
第2位:不動産収入を法人で受け取る仕組みを作る
不動産を個人で持っている社長に、ぜひ知っておいてほしい話があります。
個人で不動産収入を得ると、先ほどと同じく最高55%の税率がかかります。一方、法人で受け取った場合の実効税率は約22〜34%です。
この差がどれほど大きいか、具体的に考えてみます。年間賃料収入が2,000万円あるとします。個人で受け取り仮に税率50%なら手残りは約1,000万円。法人で受け取り税率30%なら、手残りは約1,400万円。単純計算で400万円の差が生まれます。
もちろん、法人化にはコストもかかりますし、設立のタイミングや移管方法によって効果は変わります。でも、不動産を複数持っている、あるいは今後取得を考えているなら、「個人か法人か」という視点は早めに持っておくべきです。
第1位:役員報酬と不動産法人化を「一体設計」する
ここが最も重要なポイントです。
役員報酬の見直しと不動産法人化を、バラバラに考えている社長が意外と多いです。でも、この2つを連動させると、効果が何倍にも膨らむことがあります。
たとえば、不動産法人の代表に家族を据えて、そこから給与を支払うことで所得分散ができます。家族全体の税負担を下げながら、法人に資産を蓄積していく設計です。さらに社長本人の役員報酬を最適化することで、個人の税率も同時に下げられます。
この組み合わせを正しく設計すると、年間節税額が1,000万円を超えることも珍しくありません。
ただし、順番を誤ると逆効果になることがあります。先に個人で不動産を購入してしまうと、後から法人に移す際に不動産取得税や譲渡所得税が発生するケースがあります。設計は「買う前」「法人化する前」に行うのが鉄則です。
また、家族への給与は実態のない「名ばかり給与」だと税務調査で否認されます。実際に業務を担当している事実と、それを証明できる記録が必要です。専門家と一緒に、証拠が残る形で設計してください。
今期に間に合わせるために、今月動く
決算が近い社長ほど、「もう遅い」と諦めてしまいがちです。
でも現実的に言うと、役員報酬の調整や法人設立の検討は、決算の2〜3ヶ月前でも間に合うケースがあります。今月中に動き始めれば、今期の節税に反映できる可能性があります。
逆に、「来期から考えよう」と先送りにすると、確実に今期分の節税機会は失われます。1年で失う差額が数百万円なら、それは放置できない金額のはずです。
役員報酬と不動産の一体設計をまだ検討したことがないなら、今期中に一度税理士に相談してみてください。「やっておけばよかった」と後悔するより、動いてみることの方がずっと価値があります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。