先日、年商3億円の建設会社を経営する社長から、こんな連絡をもらいました。

「決算が近いんですが、顧問の税理士から不動産節税は税制改正でもう使えないと言われました。本当ですか?」

結論から言うと、半分正解で半分誤解です。確かに一部のスキームは使いにくくなりました。でも今でも法人で不動産を絡めた節税手法は複数残っています。その中でも効果が高く、税務上の根拠もしっかりしている3つを今日はご紹介します。

第3位:中古物件の減価償却を加速させる

法人で不動産を買う際、多くの社長が「新築のほうが安心」と考えます。でも節税の観点では、むしろ中古物件のほうが強力です。

建物には法定耐用年数があります。例えば鉄筋コンクリート造なら47年。ところが築20年の中古物件を購入する場合、残存耐用年数の短さをもとに計算する「簡便法」が使えます。このケースだと耐用年数がわずか数年になることもあり、その分だけ短期間で大きな減価償却費を計上できます。

たとえば3000万円の物件で耐用年数が3年なら、毎年約1000万円を経費にできる計算です。法人税率が30%前後なら、300万円近い節税効果が3年間続くことになります。

注意点は、節税目的だけで購入するとキャッシュアウトが先行することです。物件の収益性・流動性も合わせて検討した上で、「節税はあくまでボーナス」と位置づけるのがうまい使い方です。

第2位:役員社宅で給与を「経費化」する

役員への報酬を増やすと、所得税・社会保険料がかさんできます。でも住む場所という「現物支給」に変換することで、税負担を大幅に圧縮できる方法があります。それが役員社宅制度です。

仕組みはシンプルです。法人名義で物件を取得または賃借し、役員がそこに居住します。役員は国税庁の計算式に基づいた「賃料相当額」を法人に支払いますが、これは市場家賃よりずっと低い水準になるのが一般的です。その差額が丸ごと法人の経費になります。

たとえば都内のマンションで月30万円の家賃がかかるとします。役員が支払う賃料相当額が月5万円に設定された場合、月25万円・年間300万円が法人経費として計上できます。これを5年続ければ1500万円。長期で見るとかなりのインパクトです。

法人が物件を賃借してさらに役員に又貸しする形(いわゆるサブリース形式)でも使えますが、計算方法が変わります。税理士と連携して正しく試算してもらうことが大切です。

第1位:不動産管理法人スキームで所得を分散する

節税効果という意味では、3つの中で最もインパクトが大きい手法です。

基本的な考え方は「所得を家族に分散して、累進課税の山を下げる」ことです。個人で不動産収入を得ると、すべてが一人の所得に積み上がり、高い税率がかかります。ところが不動産管理会社を設立し、管理業務を委託する形にすると、その管理料を配偶者や子ども(役員として就任させた)への報酬として支払えます。

たとえば年間800万円の家賃収入がある場合、管理料として200万円を管理法人に支払い、そこから配偶者に年収200万円を出せば、実質的に所得が分散されます。個人の所得税・住民税を合わせた税率が50%近い方なら、この分散だけで年間数十万円単位の節税が可能です。累計500万円を超える節税を実現した事例もあります。

ただし、管理実態がなければ「形式だけの契約」と認定されるリスクがあります。役員が実際に管理業務に携わっていること、管理料の水準が相場と比べて適正であることが前提です。

「税理士が言わなかった」の理由

最初の社長の話に戻ります。顧問税理士が「もう使えない」と言ったのは、おそらく悪用事例が増えて税務調査が厳しくなっていることを警戒しているからでしょう。それ自体は間違っていない。ただ、「使えない」と「乱用はNG」は別の話です。

正しく設計すれば、法人不動産を活用した節税はまだ現役です。上記の3手法はいずれも法律の条文に根拠があり、適切な実態を伴っていれば問題になりません。顧問税理士と改めてシミュレーションの機会を作ってみることをおすすめします。数百万円の差が出ることも珍しくありません。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。