先日、都内でビルを3棟保有するオーナー社長から、こんな話を聞きました。
「固定資産税って、毎年請求が来るから払ってるけど、そもそもこの金額って正しいの?」
この一言が、実はとても重要な気づきを含んでいます。結論から言うと、固定資産税の評価額は間違っていることがあるし、間違っていても気づかなければ永遠に払い続けることになります。
毎年4〜5月だけ開く「窓口」がある
多くの社長が知らないのですが、毎年4月から5月にかけて、「縦覧期間」と呼ばれる制度があります。これは、自治体の窓口で法人が保有する不動産の評価額を確認できる期間です。
普段は非公開になっている評価情報を、この時期だけ閲覧できる仕組みになっています。不動産を複数所有しているオーナー社長にとっては、実は年に一度の重要なチェックポイントなのですが、ほとんどの方が存在すら知らずにスルーしています。
評価額が500万円ズレていたら、10年で70万円の損
固定資産税の計算式はシンプルです。評価額 × 税率1.4%。これだけです。
だからこそ、評価額の誤差が直接税額に響きます。仮に評価額が500万円過大に設定されていた場合、毎年の固定資産税は7万円余分に取られている計算になります。1年なら「まあいいか」と思えても、10年積み上がれば70万円です。20年なら140万円。
問題は、誰も「あなたの評価額は高すぎますよ」と教えてくれないことです。自治体は粛々と請求書を送り続け、こちらが気づかなければその関係は永続します。
納税通知書が届いたら60日以内が勝負
固定資産税の納税通知書は、例年4月末から5月にかけて届きます。この通知書を受け取ってから60日以内に、固定資産評価審査委員会へ審査申出ができます。
これは「この評価額はおかしくないか、正式に審査してほしい」という手続きです。申出が認められれば、翌年以降の税額が下がります。逆に言うと、この60日を過ぎると、その年の評価額に対する異議申し立ては原則できなくなります。
通知書が届いた瞬間から、カウントダウンが始まっていると思ってください。
「妥当かどうか」の判断は専門家に
もちろん、すべての評価額が間違っているわけではありません。評価額が適正なケースも多くあります。問題は、素人目には判断が難しいという点です。
固定資産評価には、土地の形状・接道状況・路線価の補正、建物の構造・築年数・用途変更などが複雑に絡み合います。「なんとなく高い気がする」という感覚だけで申出しても、根拠が弱ければ認められません。
一方で、不動産鑑定士や固定資産税に詳しい税理士と一緒に評価明細を精査すると、補正の漏れや計算ミスが見つかるケースがあります。特に築年数の古い建物や、形状が特殊な土地では、実態と評価がズレやすい傾向があります。
今月やるべきことは一つ
難しい話は抜きにして、今月の行動指針はシンプルです。
納税通知書が届いたら、捨てずに60日以内に不動産専門家に見せてください。
自治体の縦覧制度で評価額の確認もできますが、まずは通知書を手元に持った状態で専門家に相談するだけでいい。それだけで、払いすぎを回収できる可能性が生まれます。
「どうせ大丈夫だろう」と何年もスルーしてきた社長ほど、一度確認してみる価値があります。10年分の過払いを今更取り戻すことはできませんが、来年以降の節税は今動けば間に合います。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。