先日、年商3億の建設業を営む社長からこんな相談を受けました。「社用車、4台持ってるんですが、自動車税ってずっと自分の口座から払ってました。会社の経費にできるんですか?」

思わず「今まで何年払い続けてたんですか?」と聞き返してしまいました。答えは「創業から7年」。取り戻せないお金を考えると、少しため息が出る話です。

この社長に限らず、社用車の経費化を中途半端にしか使えていない会社は意外と多いものです。今回は5月の自動車税シーズンに合わせて、法人の社用車でできる節税をきちんと整理してみます。

個人口座で払い続けるのが、いちばんもったいない

5月になると自動車税の納付書が届きます。普通乗用車なら年間3〜4万円、排気量が大きい車なら5〜6万円。「たいした金額じゃないか」と個人口座からサッと振り込んでしまう社長も多いのですが、これが積み重なると結構な額になります。

会社名義の車であれば、自動車税は全額損金に計上できます。社用車が3台あれば、それだけで年間15万円前後が経費化できるわけです。

問題は、社用車なのに名義が個人のままになっているケースや、法人名義でも個人口座から払ってしまっているケース。これでは経費にならず、ただ個人のお金が出ていくだけです。名義と支払口座の確認、まずはここから始めてみてください。

法人の社用車で使える3つの節税パターン

法人で社用車を保有すると、節税の選択肢は大きく3つあります。

ひとつ目は、自動車税・重量税を法人口座から支払い、会社の経費として計上することです。当たり前に聞こえますが、名義確認・支払口座の紐付けを見直すだけですぐ改善できるケースが多い。

ふたつ目は、車両購入時の減価償却です。現金一括で買っても、全額がすぐ経費になるわけではありません。耐用年数に応じて費用化します。ただし中古車は耐用年数が短くなるため、早期に大きく費用化できます。たとえば中古で300万円の車を購入し耐用年数が2年なら、単純計算で年150万円の経費計上が可能です。タイミングと車種の組み合わせ次第で、節税効果は大きく変わります。

三つ目はリース契約の活用です。購入ではなくリースを選ぶ場合、月々のリース料は全額損金になります。減価償却の計算が不要で、費用が毎月均等に計上できるため経理の手間も少ない。月20万円のリース契約なら年間240万円が経費です。

「年50万円節税」は現実的な数字か

実際にどのくらい節税になるか、試算してみます。

社用車1台を法人で保有した場合、年間でかかる費用の目安はこのくらいです。自動車税が5万円前後、車両減価償却費(中古300万円・耐用年数3年)が年100万円、燃料費が30万円、任意保険が15万円、修繕・車検・消耗品が10万円。合計で160万円前後が経費化できます。

法人税等の実効税率を約30%とすると、160万円 × 30% ≒ 約48万円の節税になります。「年50万円節税」は、決して大げさな数字ではありません。車両の台数が増えれば、当然それ以上になります。

経費にするには「事業利用の実態」が必要

ここで一つ、重要な注意点があります。

社用車として経費計上するためには、事業での利用実態が必要です。税務調査で問われるのは「本当に仕事で使っているか」という一点です。最低限の対策として、走行日報(日付・行き先・走行距離・目的)をつけておくことが求められます。

プライベートと兼用している場合は、事業利用割合を合理的に算定しておかないと、全額経費が否認されるリスクがあります。「記録が面倒」という気持ちはわかりますが、年50万円の節税を守るために数分の記録をつけるのは、コストパフォーマンスが抜群に良い作業です。最近は走行ログを自動記録してくれるアプリも充実しているので、活用してみてください。

今期中に整備しておきたいこと

5月は自動車税の納付書が届くタイミングです。この機会に、社用車の名義が法人になっているか、自動車税の支払口座が法人口座になっているか、走行日報などの記録が整備されているか——この3点を確認してみてください。

特に「個人名義のまま社用車として使っている」という場合は、名義変更の手続きも含めて税理士に相談することをおすすめします。名義変更には費用がかかりますが、それ以上の節税効果が見込めるケースがほとんどです。

節税の盲点は「知っているけどやっていない」ことにあります。自動車税の経費化はその典型例。今期中に仕組みを整えておくと、来年以降もずっと効いてきます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。