先日、都内で複数の収益物件を持つ製造業の社長からこんな相談を受けました。「毎年ちゃんと固定資産税を払っているんだけど、評価額って本当に正しいのかな」と。

調べてみると、法人所有の倉庫と工場、計3棟の評価額が実態より大幅に高く設定されていました。最終的に3年分を遡って500万円超の還付を受けることができました。固定資産税の評価額は「絶対に正しい」わけではないのです。

役所の評価は間違えることがある

固定資産税は、市区町村が毎年1月1日時点の評価額をもとに課税します。この評価額は3年ごとに見直される「評価替え」のタイミングがあるのですが、問題は役所がすべての物件を個別に丁寧に精査しているわけではないという点です。

特に過大評価されやすいのは、築年数の古い建物、形状が不整形な土地、複数の筆にまたがって一体利用している土地、道路や線路に隣接した不動産などです。法人所有の収益物件は面積が大きく、土地の形状も複雑なことが多いため、評価ミスが起きやすい環境にあります。

数百万円単位の過払いが判明するケースも、決して例外ではありません。

「審査申出」という制度を使う

固定資産税の評価額に疑義があるとき、固定資産評価審査委員会に対して正式に不服を申し立てる行政手続きが「審査申出」です。認められれば評価額が修正され、過払い分が還付されます。

評価替えは3年サイクルで行われているため、1回の申出で最大3年分を遡れます。これが「3年で500万円」という話の背景です。この制度を知らずに何年も過払いを続けている法人が、実は相当数あります。

申請の手順と期限

審査申出には厳しい期限があります。手順と合わせて確認しておきましょう。

まず、縦覧期間(4〜5月)に評価証明書を取得します。 毎年4月から5月上旬にかけて、市区町村で固定資産の「縦覧」ができます。この期間に評価証明書を取り、現在の評価額を把握することが出発点です。

次に、不動産鑑定士に評価額の妥当性を確認してもらいます。 評価額が適正かどうかの判断には、不動産鑑定士の視点が不可欠です。市場価格や周辺相場と比較して「明らかに過大評価」と判断できれば、申出の根拠になります。

そして、納税通知書が届いたら3ヶ月以内に申出書を提出します。 固定資産税の納税通知書は毎年4〜5月に届きます。この受け取り日から3ヶ月以内というのが絶対の期限です。1日でも過ぎると、その年の申出はできなくなります。

2026年は評価替えの年

3年に1度の評価替えは、2026年がその年にあたります。つまり今年、納税通知書が届いた段階が申出の最大チャンスです。

先ほどの製造業の社長のケースでは、建物の経年劣化に対する減価補正が不十分で、土地の形状補正も漏れていました。顧問税理士がこの制度を知らなかったため、長年にわたって過払いを続けていたということです。

固定資産税は毎年黙って払うものと思い込んでいる社長は少なくありませんが、根拠を確認し、異議を申し立てる権利は誰にでもあります。

法人所有の不動産が複数ある場合は、まずすべての物件をリストアップして、税理士や不動産鑑定士と一緒に評価証明書を確認するところから始めてみてください。今年の縦覧期間はすでに始まっています。動くなら今です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。