先日、年商3億円の建設業の社長からこんな相談を受けました。「車は仕事でも使ってるんですけど、何を経費にしていいのかよくわからなくて、燃料費しか落としてないんです」。

聞いてみると、車検も保険料も、自腹で払い続けていた。もったいない、の一言に尽きます。

社用車に紐づくコスト、実はほぼ全部落とせます

法人が業務で車を使う場合、経費化できる範囲は思ったより広いです。自動車税はもちろん、燃料費・高速代・駐車場代、自賠責・任意保険料、車検・整備費用、そして減価償却費。これらを合算すると、普通乗用車1台でざっくり年間150万円前後になることも珍しくありません。

所得800万円を超えた法人の実効税率は概ね33%程度ですから、150万円を丸ごと経費化できれば、約50万円の節税になる計算です。燃料費しか落としていない状態とは、まったく別の話になります。

節税を最大化する3つのアプローチ

では、どうやって社用車を法人に取り込むか。大きく3つのパターンがあります。

① 購入して減価償却する

法人名義で車を買えば、取得価額を法定耐用年数にわたって損金算入できます。新車の普通乗用車なら耐用年数は6年。ただし、登録から4年以上経過した中古車だと、計算上の耐用年数が2年に縮まります。

つまり、4年落ちの中古車を購入すれば、取得価額の全額を2年で落とせるということです。初年度に大きな節税を狙うなら、このパターンが効きます。

② リース契約で月額全額を損金にする

購入の場合、減価償却は何年かに分散されます。一方、いわゆるオペレーティングリースでは、リース料を支払った期にそのまま全額損金にできます。

毎月の資金繰りに合わせて費用を計上できるため、計画的に利益を圧縮したい期に使いやすい手法です。年間のリース料が読めるので、節税効果が事前に見積もりやすいのも助かります。

③ 個人名義の車を法人に売却して社用車に転換する

社長が個人で持っている車を、適正価格で法人に売る方法です。中古車市場の相場に基づいた金額で取引すれば、法人側は中古車として減価償却でき、以降の維持費もすべて法人の経費になります。

「どうせ自分の会社なんだから同じでしょ」と個人負担のままにしておくのは、税務上かなりもったいない状態です。今すぐ動けば今期の決算に間に合うケースも十分あります。

一番大事なのは「実態」です

ここが見落とされがちな急所です。

どれだけ形式を整えても、実際に業務で使っていなければ経費として認められません。税務調査で必ず確認されるのが走行記録。いつ、どこへ、何のために走ったか。これが残っていないと、経費計上そのものを否認されるリスクがあります。

プライベートでも使っているなら、按分が必要です。「法人100%で落としているけど、週末のドライブにも使っている」という状態は、調査が入ったときに説明がつきません。業務利用割合を算出して、個人利用分は適切に処理するのが前提条件です。

規程を作っただけでは不十分なケースもあります。社内規程が整っていても、走行記録がゼロだと「形だけ整えた」と判断されることが実際にあります。記録の習慣化がすべての前提です。

5月は見直しのベストタイミング

自動車税の納付書が届くこの時期は、社用車の経費管理を棚卸しする絶好の機会です。「自動車税だけ会社で払って、保険や車検は個人負担のまま」「走行記録をつけたことがない」という状況があるなら、今期の決算前に一度、顧問税理士と現状を確認してみることをおすすめします。

特に個人名義の車を業務でも使っているなら、法人への売却・移転を検討するだけで、今期の節税効果がかなり変わってくるはずです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。