先日、ある製造業の社長からこんな連絡がきました。「決算まであと1か月あるんですが、まだ何か手を打てますか?」\n\n3月決算の会社にとって、2月下旬から3月にかけては”節税の最終ターン”です。この時期に何もしないまま決算を迎えてしまうと、数十万〜数百万円を本来よりも多く税金として納めることになりかねません。\n\nよく見かける「やりがちなミス」をランキング形式でご紹介します。心当たりのある方は、今すぐ動ける策から確認してみてください。\n\n## 3位:修繕費の「後回し」で22万円を捨てている\n\n工場の天井にひびが入っている、事務所のエアコンが老朽化している。「修繕しなきゃとは思っているんですが、バタバタして…」という社長、実は多いんです。\n\n修繕費は、工事に着手した段階で経費計上できます。完工していなくても、3月末までに着手さえしていれば今期の損金に算入できるのがポイントです。\n\n100万円の修繕費を今期に計上した場合、実効税率22%の法人なら約22万円の節税効果があります。来期にずれ込めば、その22万円は丸ごと追加の納税額になってしまいます。\n\nただし、建物の価値を高める工事(資本的支出)は修繕費ではなく資産計上になるケースがあります。着手前に税理士と確認しておくと安心です。\n\n## 2位:役員社宅を活用していない\n\n「社長なのに、自分で家賃を払っているんですか?」と聞くと、「え、会社に借りてもらえるんですか?」という反応をされる方が少なくありません。\n\n役員社宅制度とは、法人が賃貸物件の契約者となり、役員に転貸する仕組みです。役員が会社に支払う家賃(賃貸料相当額)は通常、実際の家賃の10〜15%程度で済むため、差額分を会社が経費として落とせます。\n\n月20万円の家賃の物件を役員社宅にした場合、毎月17〜18万円程度が法人の損金になる計算です。年間にすると200万円超の経費が新たに生まれるイメージです。\n\n社宅として認定されるには一定の要件があり、転貸契約の手続きや賃貸料相当額の計算が必要です。今すぐ始めるなら、来期スタートを目標に準備を進めるのがちょうど良いタイミングです。\n\n## 1位:収益不動産の取得を「来期でいいか」と先送りにした\n\nこれが最大のミスです。課税所得が800万円を超えている法人の実効税率は、約34%に達します。1,000万円の利益があれば、340万円が税金として消えていく計算です。\n\n収益不動産を取得すれば、減価償却費として毎年数百万円を経費に計上できます。たとえば5,000万円の木造アパートを法人名義で取得すると、耐用年数22年として年間約227万円の減価償却費が発生します。実効税率34%なら、それだけで年間約77万円の節税になります。\n\nしかし、ここに大きな落とし穴があります。決算30日前に動き出しても、物件探し・融資審査・契約・登記のすべてを間に合わせるのは現実的に不可能です。\n\n今期はもう手遅れ、という方も多いかもしれません。でも本当に怖いのは「来期もまた同じことを繰り返すこと」です。不動産節税を本気で活用したいなら、決算が終わった直後から動き始めるのが正解です。\n\n## 決算前にやるべきことを今すぐリストアップしよう\n\n3月決算の会社にとって、3月はゴールであり最後のチャンスです。\n\n修繕が必要な箇所はないか確認し、今期中に着手できるものは発注してしまいましょう。役員の自宅家賃を法人経由にできないか税理士に相談し、来期の不動産取得に向けては今期中に融資先や物件の候補を探し始めることをおすすめします。\n\n節税は「知っているだけ」では意味がありません。今期の決算が終わる前に、一度顧問税理士と30分だけ時間を取ってみてください。その30分が、数百万円の差を生むことは珍しくないんです。\n\n※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。