先日、年商2億円の製造業を経営する田中社長(仮名)から、こんな話を聞かせてもらいました。
「先生に相談するまで、まさかそんなことができるとは思っていなかった。10年間、ただ税金を払い続けていたんです」
田中社長が税の専門家に相談したところ、毎月の役員報酬まわりで、合法的に年間300万円を会社の経費に変えられる仕組みがあることが判明したそうです。
「役員報酬は変えられない」は思い込みだった
多くの社長が「役員報酬は一度決めたら変えられない」と思っています。確かに、金額を期中に増減させることには厳しい制限があります。でも、報酬の総額はそのままに、一部を会社の経費として処理できる方法が3つあるんです。
田中社長のケースで実際に使った手法を、順番に説明していきます。
その1:役員社宅の借り上げ(年間180万円の経費化)
社長が自宅として住んでいる物件を、会社が借り上げて社宅として提供する仕組みです。
会社が家賃を払い、社長はその一部を「賃料」として会社に支払います。差額が会社の経費になる、というシンプルな構造です。
田中社長の場合、月額家賃25万円のマンションに住んでいました。会社が借り上げて、社長が月6万円を会社に支払う形にしたところ、毎月19万円、年間で228万円が会社経費に。個人の手取りも実質的に増えるため、一石二鳥の効果がありました。
ただし、社長が支払う賃料は「国税庁が定める計算式」で算定する必要があります。この金額を下回ると、差額が給与として認定されてしまうので、必ず税理士に計算してもらってください。
その2:旅費規程の出張日当(年間72万円の経費化)
「うちは旅費規程、作ってないんですよ」
これ、本当によく聞く言葉です。旅費規程さえ社内で整備すれば、出張時に「日当」を非課税で支払えます。日当は会社の経費になり、かつ受け取る側(社長個人)にも所得税がかかりません。
田中社長は月に数回、仕入先や展示会への出張がありました。日当を1日5,000円に設定し、月12日分・年144日分を支給する形にしたところ、年72万円が経費に。個人にとっては無税の収入が増えた形になります。
金額の設定は「社会通念上の範囲」に収める必要がありますが、中小企業の役員であれば日当5,000〜1万円程度が一般的です。
その3:研修費・スキルアップ費(年間48万円の経費化)
社長本人のセミナー参加費、業務関連の書籍代、オンライン講座の受講料——これらは「役員の研修費」として会社が負担できます。
個人で払っていたものを会社経費にするだけなので、追加のキャッシュアウトはゼロ。田中社長は年間48万円分の研修・書籍代を会社負担に切り替えました。
ポイントは「業務関連性」を明確にしておくこと。経営・マーケティング・業界知識など、事業に紐づくものであれば問題ありません。趣味の習い事はNGです。
合計すると、10年で1,050万円の差になる
3つを合わせると、年間300万円の経費化。実効税率35%で計算すると、年間の節税額は約105万円です。
田中社長が10年間やっていなかったということは、単純計算で1,050万円を余分に納税していたことになります。
「知ってるか知らないかだけの違い」というのは、田中社長自身の言葉です。不正でも脱税でもない。ただ、仕組みを知っていたかどうかの差でしかない。
今期中にやっておきたいこと
役員社宅は契約の組み換えが必要なので少し準備が要りますが、旅費規程は今日から整備できます。まだ作っていないなら、今期中に一枚の規程書類を用意するだけで来期から即効します。
「うちの会社でも使えるか」を確認するだけでも、税理士に30分相談してみる価値は十分あります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。