先日、クライアントの社長からこんなメッセージが届きました。「今月の住民税通知、去年より40万も増えてるんですけど……これって何かの間違いですか?」

昨年より業績が良かったのだから、増えるのは当然——そう思って諦めている方も多いかもしれません。ですが実は、この住民税、法人の仕組みをうまく使えば来年以降は大幅に変えられます。今日はその方法を、できるだけわかりやすくお伝えします。

6月の通知は「昨年の結果」、来年を変えるのは今から

住民税は前年の所得をもとに計算され、毎年6月に通知が届きます。つまり今届いた通知は、昨年の所得に対する請求書です。

逆に言えば、来年の通知を変えたいなら今年の所得設計を見直す必要があります。6月の通知を受け取って「なんとかしたい」と感じた瞬間が、実は動き出すベストタイミングです。

役員社宅が「即効性の高い」節税になる理由

法人を活用した節税策はいくつかありますが、社長個人の税負担を直接下げるという意味で最も即効性が高いのが「役員社宅」の仕組みです。

シンプルに言うと、会社が物件を借り上げ、そこに社長が居住するというスキームです。社長は会社に対して家賃を払いますが、その金額が通常の市場賃料よりもかなり低く設定できるため、差額分が実質的に給与の圧縮につながります。

個人の給与が下がれば、所得税と住民税の両方が下がる。これが役員社宅節税の核心です。

「月30万の物件」でも個人負担は月数万円になる

ここで「会社が30万払って社長が数万しか払わなかったら、差額は給与扱いにならないの?」という疑問が浮かぶ方もいると思います。

これが、正確には違うのです。国税庁が定めた計算式——固定資産税評価額などをもとに算出する「賃料相当額」に基づいて家賃を設定した場合、差額は課税対象にはなりません。

この計算式で出た金額は市場賃料より大幅に低くなることがほとんどで、月30万円の物件でも賃料相当額が月3〜5万円程度になるケースも珍しくありません。月25万円以上の「実質的な所得圧縮」が実現できることもあります。

年間でいくらの節税になるのか

仮に月25万円の所得圧縮が実現した場合、年間では300万円の削減になります。所得税率と住民税率の合計が35%程度の方なら、年間100万円超の節税効果です。

物件の家賃水準や所得水準によっては、年間200万円規模の節税効果が出るケースもあります。毎月の生活水準を落とさずに、税の支払いだけが下がる——これが役員社宅の魅力です。

やり方を間違えると「否認」されるので注意

役員社宅はとても効果的な節税策ですが、正しく使わないと税務調査で否認されるリスクがあります。必ず押さえておきたい注意点を3つお伝えします。

まず、賃料相当額は国税庁の計算式に従って算出すること。「市場賃料より安ければいいだろう」という感覚で設定すると、後から問題になります。

次に、物件の賃貸契約は必ず法人名義にすること。個人名義で借りた自宅を社宅扱いにしようとしても認められません。

そして、実際に居住の実態があること。書類だけ整えても、実際に住んでいなければ当然否認対象です。

この3点を守れば、役員社宅は強力な節税ツールとして機能します。

動くなら「今年中」に始めてください

役員社宅の導入には、物件の選定、法人名義での賃貸契約、賃料相当額の計算という一連の手順が必要です。ひとりで進めると時間がかかりますが、税理士と一緒に動けば1〜2ヶ月で整備できます。

年末に向けて所得が確定していく前に、早めに動き出すことが大切です。今年の住民税通知を「来年の税額を変えるためのきっかけ」として活かせるかどうか——それが、来年の6月に届く封筒を開けたときの気持ちを決めます。

まだ役員社宅を活用していないなら、今期中に顧問税理士に相談してみることをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。