先日、ある社長からこんな相談を受けました。「毎月の役員報酬は十分もらっているはずなのに、なぜかお金が手元に残らない。もっと手取りを増やす方法はないですか?」

これ、本当によく聞く悩みです。役員報酬を100万円増やしても、所得税・住民税・社会保険料で4〜5割が消える。実際に手元に届くのは50〜60万円というケースが珍しくありません。では、「報酬を上げる以外」に手取りを増やす方法はないのか。

あります。しかも3つ組み合わせれば、月30万円以上の差が出ることも現実的です。今日はその方法をお伝えします。

3位:研修・書籍費で月5〜10万円を「税前支出」に変える

業務に関連するセミナーや書籍代は、会社経費として全額落とせます。当たり前のことのように聞こえますが、意外と「個人払いのままにしている」社長が多いんです。

個人で払うということは、所得税・住民税が引かれたあとのお金で支払うことになります。一方、会社経費にすれば税引き前のお金で払える。月5万円の自己投資を経費化するだけで、法人税率30%の会社なら年間約18万円の節税効果があります。

ビジネス書、オンライン学習サービス、業界セミナーの参加費など、「この学びが業務にどう結びつくか」を説明できるものはすべて対象になり得ます。プライベートな趣味の習い事は対象外ですが、業務との関連性があるものは積極的に経費化を検討してみてください。

2位:旅費規程を作るだけで月10万円超が非課税で手元に届く

多くの会社でまだ活用されていないのが、出張日当です。これが知られていないのが本当にもったいない。

会社が旅費規程を整備すると、役員が出張するたびに1日5,000〜10,000円の「日当」を非課税で受け取れるようになります。交通費・宿泊費とは別の話です。仮に月15日の出張があって日当が8,000円なら、それだけで月12万円が手元に入ります。

この日当、受け取る役員側には所得税がかからず、支払う会社側は損金として計上できる。つまり、社長の手取りが増えて、会社の税負担も下がるという二重のメリットがあります。

必要なのは「旅費規程を整備する」という一手間だけ。役職ごとに日当の上限を定め、国税庁の基準を参考にしながら常識的な金額に設定しておけばOKです。まだ旅費規程がないなら、今期中に顧問税理士と一緒に整えておくことをおすすめします。

1位:役員社宅で住居費の大部分を会社負担にする

3つの中でもっとも効果が大きいのが、役員社宅の活用です。仕組みを知ると、「これをやらない理由がない」と感じる方も多いはずです。

会社が物件を借り上げ、役員がそこに住む。役員が会社に支払う家賃は「国税庁の計算式で算出した賃料相当額」でよく、実際の家賃とは大きく異なります。固定資産税評価額や床面積をもとにした計算式なので、市場の家賃より大幅に低い金額になることがほとんどです。

月額家賃20万円の物件でも、自己負担が3〜5万円程度になるケースがあります。差額の15〜17万円は会社経費になり、役員は実質的に住居費の大部分を会社に負担してもらっている状態になります。役員報酬を月20万円増やすより、役員社宅で20万円分の住居費を会社負担にした方が、手元に残るお金は多くなるんです。所得税も社会保険料も増えないからです。

ただし、自己負担額が計算式の金額を著しく下回る場合は給与として課税されるリスクがあります。具体的な計算は必ず顧問税理士に確認してください。

3つ合わせれば月30万円増は現実的な数字

研修・書籍費で月5〜10万円、出張日当で月10万円超、役員社宅で月15万円前後。これを全部組み合わせると、手取りベースで月30万円の差になります。

大事なのは、これが「役員報酬を増やす」話ではないという点です。報酬はそのままに、「お金の受け取り方」を変えるだけ。社会保険料も所得税もそのままで、手元に残るお金が増える。会社側も経費が増えて法人税が下がる。どちらにとっても得な仕組みです。

「社宅は手続きが面倒そう」「旅費規程なんてうちには関係ない」と思っていた方も、ぜひ一度、決算前に税理士と一緒に確認してみてください。意外とシンプルに始められるものばかりです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。