先日、アパートを2棟持つある社長から連絡がきました。「住民税の通知が届いたんですが、去年より上がってる気がして…なんでですかね?」

6月はそういう季節です。全国の事業主・会社役員のもとに住民税の決定通知書が届き、多くの社長がため息をつく。でも、ため息で終わらせるのは、実はとてももったいないことなんです。

通知書の金額が「高すぎる」と感じたなら、その直感は案外正しいかもしれません。

住民税が高い社長に共通する「見落とし」

住民税は前年の所得をもとに計算されます。つまり今届いた通知書の金額は、2025年(令和7年)の申告内容が反映されています。

不動産収入がある社長に特に多いのが、減価償却費や修繕費の計上漏れです。建物の減価償却費は毎年発生するはずなのに、「領収書を出し忘れた」「確定申告を税理士に丸投げして細かく確認しなかった」というケースが、意外に多くあります。

築20年の一棟アパートを例にとると、年間の減価償却費は数十万円になることもあります。それが丸々抜けていれば、住民税だけで10〜15万円余計に払っている計算になります。「毎年なんとなく高い」と感じていた社長は、ここを疑ってみてください。

通知書を手元に、3つのポイントを確認する

難しいことはありません。通知書を開いて、課税所得の欄を確認しながら以下の3点を見直すだけです。

① 不動産の経費は正確に計上されているか

減価償却費、修繕費、管理委託費、ローン利息。これらが昨年の確定申告書にきちんと反映されているか確認しましょう。特に修繕費は「小さい金額だから」と見落とされがちですが、積み重なると大きな差になります。

② 小規模企業共済を上限まで使っているか

個人事業主や役員なら、小規模企業共済は節税の王道です。月7万円、年84万円まで全額所得控除になります。所得税と住民税を合わせると、年30〜40万円の節税効果が出るケースも珍しくありません。未加入の方、あるいは掛金が上限に届いていない方は、今日からでも手続きできます。

③ iDeCoを活用しているか

自営業の社長なら年81.6万円、会社の役員でも条件によって活用できるiDeCo。年27.6万円の控除で、税率によっては10万円超の節税になります。「老後の話でしょ」と後回しにしている方ほど、もったいない状況になっています。

この3つをすべて見直せば、年間30〜50万円の節税が実現できる社長は少なくありません。

「通知書を見た今」が一番動きやすいタイミング

住民税の決定通知書は、今年払う金額を告げる書類ですが、同時に「昨年の申告に抜けがなかったか」を振り返るヒントでもあります。

来年の住民税を下げるための手は、今月中に打たないと間に合わないものがあります。小規模企業共済の加入・増額手続きはすぐに動けますし、今期の修繕計画や経費整理を今から進めておけば、来年の申告に活かせます。

「今年も高かったな」と引き出しにしまってしまうのが、一番もったいない行動です。

課税所得の欄を見て、「この金額、本当に正しいのか?」と一度疑ってみてください。その小さな問いかけが、年50万円の差をつけることがあります。

今月中に担当の税理士に「昨年の申告内容を一度確認したい」と連絡を入れてみましょう。それだけで、来年届く通知書の金額が大きく変わる可能性があります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。