先日、同じ年商規模の社長ふたりから、ほぼ同じタイミングで「不動産で節税したい」という相談を受けました。
おふたりとも真剣に節税を考えていて、行動力もある。それなのに、1年後の税負担の差が300万円以上になりそうだったんです。
違いは、買った物件の「種類」だけでした。
新築マンションで節税しようとすると、こうなる
ひとりの社長は、都内の新築マンションを法人で取得しました。立地も良く、将来の資産価値も期待できる。一見、賢い選択に見えます。
ところが節税という観点では、これが思いのほか効きにくい。
鉄筋コンクリート造の新築マンションは、税法上の耐用年数が47年あります。つまり、取得費用を47年かけて少しずつ経費にしていく仕組みです。
仮に5,000万円の物件なら、年間の減価償却費はおよそ106万円。法人税率を30%とすると、節税効果は年間30万円ほど。悪くはないですが、「節税のために買った」にしては少し物足りない数字です。
築25年超の木造戸建てを法人で買うと、話が変わる
もうひとりの社長が選んだのは、築27年の木造戸建て。価格は1,000万円でした。立地も普通、外観も年季が入っている。一見地味な選択です。
でもこれが、節税の観点では強烈に効くんです。
木造建築の法定耐用年数は22年。そして、すでに法定耐用年数を超えた建物の場合、「残存耐用年数」という特別な計算式が使えます。計算すると、耐用年数はわずか4年。
1,000万円の物件を4年で償却するということは、年間250万円が経費として計上できます。法人税率30%で計算すると、年間75万円の節税。さらに複数年続けば、累積の効果はかなり大きくなります。
新築マンションと比べると、同じ「不動産を法人で買った」という行動でも、節税効果に年間で200万円以上の差が生まれるわけです。
「耐用年数の計算」がカギを握っている
少し補足しておくと、法定耐用年数を超えた中古資産の耐用年数は、「法定耐用年数 × 20%」という式で計算します。
木造なら 22年 × 20% = 4.4年、端数切り捨てで4年。
この仕組みを知っているかどうかで、同じ1,000万円の投資でも結果がまるで違ってくるんです。築古木造戸建てがなぜ節税に向いているかと言えば、単純に「短期間で大きく償却できる」から。この一点に尽きます。
法人で買うことで、さらに節税効果が高まる理由
個人ではなく法人で取得することにも、大きな意味があります。
法人の場合、役員報酬と組み合わせることで所得の分散が図れます。たとえば、法人の利益が大きくなりすぎそうなタイミングで減価償却を活用すれば、課税所得を効果的に圧縮できます。
個人で不動産を持つ場合は、不動産所得として総合課税され、他の所得と合算されます。でも法人であれば、利益の調整自由度が高く、戦略の幅が広がります。
節税は「一手」だけで完結するものではなく、複数の手を組み合わせることで効果が最大化されます。築古戸建ての減価償却は、その中でも特に即効性の高い一手です。
注意しておきたいこと
ただし、いくつか気をつけるべき点もあります。
まず、減価償却が終わった後は経費計上できなくなるため、出口戦略を最初から考えておく必要があります。4年で償却が終われば、その翌年からは節税効果がなくなる。次の物件をどうするか、事前に計画しておくことが大切です。
また、あくまで「事業として実態のある取得」であることが前提です。形式だけ法人名義にして、実態のない取引と判断されれば、税務調査のリスクが生じます。きちんと賃貸運営の実態を作ることが不可欠です。
物件の選定も重要で、利回りや立地、管理のしやすさを総合的に判断する必要があります。節税効果だけを追いかけて、空室リスクの高い物件をつかんでしまっては本末転倒です。
もし今期の利益が膨らんでいるなら、早めに動いてほしい
決算が近づいてから慌てて動こうとしても、不動産の取得は時間がかかります。物件探しから契約・決済まで、最低でも1〜2ヶ月は見ておく必要があります。
「今期は利益が出そうだ」と感じているなら、今すぐ顧問税理士に相談して、法人での築古木造戸建て取得が自社の状況に合っているかどうか確認することをおすすめします。
同じ行動量でも、知識ひとつで手取りが年間数百万円変わる。これが節税の面白いところであり、怖いところでもあります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。