「決算前になっても、使える経費が思い浮かばない」——そんな相談を、法人を経営している社長から頻繁に受けます。利益は出ている。でも有効な手が見当たらない。そういうときこそ、不動産の活用を一度検討してみてほしいのです。

中古マンションを法人名義で購入するだけで、初年度に数百万円単位の経費を計上できる仕組みがあります。税務署が積極的に教えてくれないだけで、これは完全に合法な節税策です。

築25年超のRC造マンションに目をつける理由

鉄筋コンクリート造(RC造)マンションの法定耐用年数は、新築の場合47年に設定されています。ところが中古物件には、残存耐用年数を独自の計算式で短縮できる特例があります。

築25年を超えたRC造物件の場合、税法上の計算式を当てはめると耐用年数は「法定耐用年数の20%」に相当する年数になります。具体的には9年前後になるケースが多く、ここに大きな節税の入口があります。

「耐用年数9年」が生み出す経費の規模

耐用年数9年の建物を定額法で償却する場合、年間の減価償却費は「建物価格 ÷ 9」です。

建物部分を1億円で取得したとすると、1年あたり約1,111万円の経費が発生します。初年度は取得月から年末までの月割り計算になるため多少減りますが、それでも700万円を超える経費を計上できます。

法人の実効税率はおよそ34%前後です。700万円の経費に対する節税効果は約240万円——つまり手元に残るお金が240万円増える計算になります。

なぜ「法人」でないと効果が薄いのか

個人でも中古不動産の減価償却は活用できますが、法人と比べると使い勝手に大きな差があります。

個人の場合、不動産収入は「不動産所得」として他の所得と分けて計算されることが多く、損益通算には一定の制約があります。一方、法人であれば本業の利益と合算して課税所得を算出するため、他事業の利益を直接圧縮することができます。

売上が急増した決算期、役員報酬を増やせない事情がある年——そういうタイミングで購入することで、法人全体の税負担を一気に引き下げることが可能です。

「1億円の物件なんて…」という方へ

「1億円は現実的じゃない」と感じた方に、補足しておきます。

地方都市では、築古のRC造マンションが数千万円台で流通している市場もあります。仮に建物部分が5,000万円の物件であれば、初年度の経費は350万円超、節税効果は約120万円です。1棟マンションと聞くと敷居が高く感じますが、物件の規模感によっては十分に現実的な選択肢です。

必ずチェックすべき「土地と建物の割合」

不動産購入時に絶対に確認してほしいのが、代金に占める土地と建物の比率です。

土地は経年劣化しないため、減価償却の対象外です。節税効果が生まれるのはあくまで建物部分だけ。同じ1億円でも、土地7,000万円・建物3,000万円という内訳なら、償却できるのは3,000万円分に限られます。売買契約書で土地・建物の内訳がどう設定されているか、必ず税理士と一緒に確認してください。内訳の決め方ひとつで、節税効果が数百万円単位で変わることもあります。

利益が出た今期こそ、動き出すタイミング

この節税策の最大の魅力は、「購入した期だけ」に特化して大きな経費を計上できる点です。利益が出た年に購入し、翌期以降は家賃収入を得ながら経費を分散していく——そういう計画的なプランニングが可能になります。

今期の着地が想定より良くなってきたと感じているなら、早めに動くほど物件の選択肢が広がります。まず顧問税理士に「中古RC造マンションの減価償却を使った節税を検討したい」と相談してみてください。知っているか知らないかだけで、数百万円の差が生まれる話です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。