先日、製造業を営む田中社長(仮名)からこんな話を聞きました。「決算3ヶ月前に気づいたら利益が1,500万円も出ていて、このままだと税金で500万円近く持っていかれる計算だった」と。
でも田中社長、結果的に昨年の法人税をかなり圧縮することができたんです。使った手法は、ちょっと意外かもしれません。太陽光発電設備付きの収益物件の購入、です。
太陽光設備には「即時償却」という強力な武器がある
通常、建物や設備を購入したときの費用は、何年にもわたって少しずつ経費にしていきます。これが「減価償却」ですね。たとえば1,000万円の設備を10年かけて経費化すると、1年あたり100万円しか落とせません。
ところが、太陽光発電設備には「即時償却」という特例が認められているケースがあります。要するに、購入した年度に設備費用をまるごと一括で経費にできるという制度です。
田中社長のケースでは、太陽光設備の取得費用が約1,200万円。それを購入した事業年度に全額経費として計上できたわけです。法人税率をおよそ30%とすると、1,200万円 × 30% = 360万円超の節税効果になります。これを一年で実現できるのは、なかなかインパクトがありますよね。
しかも売電収入まで入ってくる「二刀流」
節税だけでも十分魅力的なのですが、太陽光発電付き物件のおもしろいところはそれだけじゃありません。設備が稼働すれば、電力会社への売電収入が毎月入ってくるんです。
つまり、こういう構図になります。
- 購入年度:設備費用を即時償却して節税
- 翌年以降:売電収入がキャッシュとして積み上がる
「お金を使って節税する」というのはよくある話ですが、多くの節税手法は「払ったお金が戻ってこない」という側面があります。生命保険の前払いや、使いきれない備品の購入などがその典型です。でも太陽光の場合は、設備自体がお金を生み続ける資産になる。節税しながらキャッシュフローもプラスにできる、という意味で「二刀流」と呼ばれるゆえんはここにあります。
田中社長も「節税しながら収入も入ってくるなんて、最初は半信半疑だった」とおっしゃっていました。
ただし、「誰でも使える」わけじゃない
ここで少し落ち着いて考えてほしいのですが、即時償却の特例には適用要件があります。設備の種類、規模、取得時期、そして中小企業かどうかといった条件をすべてクリアしていなければなりません。
たとえば「中小企業経営強化税制」を活用するケースでは、経営力向上計画の認定を事前に取得する必要があります。これを知らずに購入してしまうと、後から「やっぱり即時償却できませんでした」という事態になりかねません。
さらに、物件が土地付きの場合は土地部分には償却が適用されないため、設備費用と土地代の按分も重要なポイントになります。売電収入が発生すれば当然それは収益として計上されますし、固定資産税や維持費とのバランスも試算しておく必要があります。
「節税になると聞いて勢いで買ったら、想定より税効果が小さかった」という失敗談も実際にあります。事前のシミュレーションと、税理士・専門家との連携は絶対に欠かせません。
利益が出ている今期こそ動くタイミング
即時償却の節税効果は、その年に利益が出ていることが前提です。赤字の会社が購入しても、当期の税負担を減らす効果は限定的になります。逆に言えば、「今期は利益が大きく出そうだ」と感じている社長にとっては、検討するタイミングとして理にかなっています。
決算の2〜3ヶ月前から動き始めると、購入・登記・計画認定のスケジュールに間に合う可能性が高まります。決算直前では間に合わないことも多いので、「今期の利益が読めてきた」と感じたら、早めに税理士に相談してみてください。
太陽光発電付き物件は、節税と資産形成を同時に狙える、法人にとって数少ない「攻めの節税手法」のひとつです。まだ検討したことがないなら、今期の決算を前に一度試算だけでもしてみることをおすすめします。きっと、新しい選択肢が見えてくるはずです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。