先日、ある製造業の社長からこんな相談を受けました。「毎年これだけ法人税を払っているのに、手元に残るお金が少なすぎる。何か手はないか」と。

この社長、年商は5億円ほどで法人は黒字続き。税理士から「もっと経費を使いなさい」と言われても、実際に何をすればいいのかわからない、という状態でした。

そこで私がお伝えしたのが、「収益不動産1本で年間500万円の経費が自動的に生まれる」という話です。

税務署が教えない、法人不動産の経費の積み上がり方

仕組みはシンプルです。法人が収益不動産を取得すると、大きく3つの経費が自動的に発生します。

まず減価償却費が最も大きなポイントです。建物は毎年一定額を経費として計上できます。たとえば木造アパートで建物部分が7,000万円なら、法定耐用年数22年で計算すると、毎年約318万円を経費に落とせます。現金は出ていかない、帳簿上の損失として機能するのが特徴です。

次に借入利息も見逃せません。1億円の物件を融資で購入すれば、金利分がそのまま経費になります。金利1.5〜2.0%なら年間150〜200万円規模になります。

そして固定資産税・維持費も法人経費として計上できます。

この3つを合わせると、1億円規模の収益不動産なら年間500万円を超える経費が自動的に積み上がります。黒字法人にとって、これは非常に大きな数字です。

個人で持つとどれだけ損をするか

同じ不動産を個人で保有した場合、家賃収入は給与と合算されます。年収が高い社長であれば、所得税・住民税の実効税率が40%を超えることも珍しくありません。

仮に家賃収入が年間600万円あっても、そのうち240万円以上が税金として消えていきます。

法人であれば、減価償却費などの経費で課税所得を圧縮しながら運用できます。この差は1年では小さく見えても、5年・10年と積み重なれば数千万円単位になります。「同じ不動産を持つなら個人ではなく法人で」というのは、節税を知っている社長の常識です。

「節税のための不動産」に潜む3つの落とし穴

ここで正直にお伝えしておきたいのですが、不動産節税は万能ではありません。

まず物件の収益性が最優先です。空室が続いて家賃収入がなければ、経費だけが走ります。節税以前に事業として成立しないと意味がありません。見た目の利回りだけでなく、立地・築年数・管理状況まで精査するのが前提です。

次に出口戦略が必要です。法人で不動産を売却すると、売却益は法人税の課税対象になります。「減価償却で経費を作りながら、最終的に売ったときにどうなるか」まで含めて計算しておくことが大切です。

そして税務署の目も意識してください。「節税だけのために買った不動産」は、税務調査で厳しく見られることがあります。事業実態が伴っているか、管理体制が整っているか、説明できる状態にしておく必要があります。

黒字法人なら、今期中に動く価値がある

減価償却は、購入した年度から計上がスタートします。今期末に物件を取得すれば、今期の決算からすぐに経費が発生します。

「来期でいいか」ではなく、「今期に間に合うか」で考える。これが不動産節税を使いこなす社長の発想です。

法人が安定的に黒字で、余剰資金あるいは融資枠があるなら、収益不動産は再現性の高い節税手段のひとつです。まだ検討したことがないなら、今期の決算が来る前に一度、税理士に数字を出してもらうことをおすすめします。合うかどうかは計算してみないとわかりません。でも計算してみれば、答えはすぐ出ます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。