先月、3月決算の製造業の社長からこんな連絡が来ました。「今期、利益が思ったより出てしまって、法人税がかなりかかりそうで……」。決算まで2ヶ月を切ったタイミングでした。
そこで私が提案したのは「まだ間に合います。中古不動産を買ってみましょう」という一言でした。最初は半信半疑だったその社長も、数字を見た瞬間に顔色が変わりました。
3月末の引き渡しが「今期の損金」になる
法人が不動産を購入すると、建物部分について減価償却費を計上できます。そして重要なのは、決算期末までに引き渡しを受ければ、その期の損金として算入できるという点です。
3月決算の法人であれば、3月31日までに引き渡しを完了させた物件の減価償却費が、今期の税務上の費用になります。つまり、今から動けばまだ今期の税金を減らせるわけです。
なぜ「築古木造」を選ぶのか
減価償却は「耐用年数」に基づいて計算されますが、中古物件には「簡便法」という計算方式が使えます。木造建築の法定耐用年数は22年ですが、すでに22年を超えた築古物件の場合、残存耐用年数はわずか2年になります。
建物部分が2,400万円の物件を購入した場合、年間の減価償却費は1,200万円です。今期だけで1,200万円の損金が生まれる計算になります。
具体的にいくら法人税が減るか
法人の所得が800万円を超えると、実効税率はおおよそ34%になります。1,200万円の損金が増えることで、今期の法人税が約400万円圧縮できる計算です。
現金で購入した場合、キャッシュアウトは建物代2,400万円ですが、そのうち400万円分はどうせ法人税として払うはずだった税金です。さらに物件自体は資産として残ります。純粋な「コスト」ではなく「資産の組み替え」とも言えます。
土地は減価償却できない——物件選びの落とし穴
ここで必ず押さえておきたい注意点があります。不動産は「土地」と「建物」に分けられますが、土地は減価償却の対象外です。どれだけ高い土地を買っても、税務上の損金にはなりません。
この戦略で効果を出すためには「建物比率が高い物件を選ぶこと」が絶対条件です。都心の一等地では土地値が高く、建物比率が低くなりがちなので注意が必要です。売買契約書や固定資産税評価額を確認し、建物部分の金額をしっかり把握した上で物件を選んでください。
3月末に間に合わせるための段取り
この戦略で一番多い失敗は「物件は決まったのに引き渡しが4月になってしまった」というケースです。不動産の引き渡しには売主の都合や金融機関の手続きが絡み、思った以上に日程が後ろにずれることがあります。
3月末に間に合わせるためには、遅くとも2月中に売買契約を締結しておくのが理想です。今の時期から動き始めれば、まだ十分に間に合います。
利益が出ている社長こそ、今すぐ動く
「今期、思ったより利益が出てしまった」と感じている社長は、まず今期の利益見込みを税理士と一緒に確認してみてください。節税できるかどうかは、物件を買う前に数字を把握していることが前提です。
不動産を活用した節税は、きちんと設計すれば強力な手段になります。ただし物件の選び方・引き渡し時期・建物比率など、チェックすべきポイントが複数あります。3月決算で今期の税負担を減らしたい方は、まず顧問税理士に相談することから始めてみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。