先日、年商3億円の建設会社を経営するオーナー社長から、こんな相談を受けました。\n\n「役員報酬を抑えて会社に利益を残してきた。それが正しいと思っていたのに、顧問税理士から『相続税が大変なことになりますよ』と言われて……」\n\nこの社長、実は非常に”まじめ”な経営をしてきたんです。でもそれが、相続の場面では逆効果になっていた。今日はそのメカニズムと、解決策をお伝えします。\n\n## 役員報酬を低くすると、相続税が増える理由\n\n会社に利益を残すと、その分だけ純資産が積み上がっていきます。一見、健全な経営に見えますよね。\n\nところが、非上場会社の株式評価(いわゆる「類似業種比準価額」や「純資産価額」)は、この内部留保の大きさに連動して上がっていきます。つまり、内部留保が厚いほど、相続時に「株の価値が高い」と評価され、相続税の計算基準が上がってしまう。\n\n役員報酬を1,000万円低く抑えた結果、会社の純資産が1,000万円増える。株評価が上がる。相続税が増える。——この「まじめに経営するほど損をする」構造を、多くのオーナー社長が知らないまま20年、30年と積み重ねてしまっています。\n\n## 法人不動産投資が「二重の効果」を生む理由\n\nこの問題を一気に解決するのが、法人での不動産取得です。\n\n仕組みはシンプルです。まず、法人で収益不動産を購入すると、毎年の減価償却費が損金に落ちます。減価償却費は実際にキャッシュが出ていくわけではないのに、帳簿上は費用として計上できる。これで会社の利益が圧縮され、株式評価が下がります。\n\nさらにもう一つ。不動産の相続税評価は「路線価」をベースに計算されます。路線価は一般に市場価格の70〜80%程度。つまり、1億円で買った物件が相続税の計算上は7,000万円前後の評価になるわけです。現金で持っているより、不動産に換えるだけで評価額が2,000〜3,000万円圧縮できる計算になります。\n\nこの「減価償却による利益圧縮」と「路線価による評価下げ」のダブル効果が重なると、相続税を最大40%近く圧縮できるケースも出てきます。数千万円単位の差になることも、けして珍しくありません。\n\n## 役員報酬の「安定財源」にもなる\n\nもう一つ見逃せないのが、不動産収入の活用です。\n\n収益物件を法人で持つと、毎月の家賃収入が会社に入ってきます。この安定したキャッシュフローを役員報酬の財源にすることができる。本業の業績に左右されずに役員報酬を設計できるため、「良い時は高く、悪い時は低く」という不安定な報酬設計から抜け出せます。\n\n役員報酬を適切に引き上げれば、会社への内部留保が抑えられ、株評価の上昇も防げます。不動産を持つことで、報酬設計と相続対策を同時に整えられるわけです。\n\n## 注意点:何でもいい物件を買えばいい、わけではない\n\nただし、不動産であれば何でも効果があるというわけではありません。\n\n- 空室リスクが高いエリアの物件は、収入が途絶えた瞬間に逆効果になります\n- 建物の耐用年数が短すぎると、減価償却の旨みが消えるのも早い\n- そもそも物件の購入価格が路線価を大きく上回る場合、節税効果が出ない\n\n「節税になると聞いたから買った」という話は後を絶ちませんが、物件の収益性と税務上の評価をセットで検討しないと、節税どころか資産毀損につながることもあります。\n\n税理士と不動産に詳しいFPやエージェントを組み合わせたチームで検討するのが、今の標準的なアプローチです。\n\n## 「知っているか否か」で数千万円変わる\n\n相続税の話は、「そのうち考えればいい」と後回しにされがちです。でも株式評価は今この瞬間も積み上がっています。\n\n不動産を活用した一体設計は、早く動くほど効果が出やすい。10年かけて減価償却を積み重ねるのと、相続2年前に慌てて動くのでは、手元に残る金額がまったく違ってきます。\n\nまだ相続対策と役員報酬を「別々の問題」として考えているなら、一度セットで見直してみることをおすすめします。知っているか否かで、最終的な手取りが数千万円変わる世界ですから。\n\n※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。
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