先日、資産数億円を持つある社長からこんな相談を受けました。「10年前から不動産で節税してきたけど、最近なんか雲行きが怪しくて……」と。
その感覚、実は正しいんです。2024年から2026年にかけて、不動産節税を取り巻く環境が急激に変わっています。今まで「王道」だった手法が、気づけば「危険地帯」になっているケースも出てきました。
今回は、特に注意が必要な改正の3つのポイントをお伝えします。
タワマン節税は「過去の話」になった
2024年1月、いわゆるタワマン節税が実質的に封じられました。
これまで、タワーマンションの高層階は市場価格が億を超えていても、相続税の評価額は数千万円程度に抑えられていました。その乖離を使って相続税を圧縮する、というのが典型的な手法でした。
ところが税制改正で「市場価格との乖離が大きすぎる場合は補正する」というルールが導入されました。簡単に言えば、実勢価格に近い評価額に引き上げられるということです。従来の節税効果が激減し、「タワマンを買えば相続税がグッと減る」という方程式は、もはや成り立ちません。
すでにタワマンを保有している方も、評価額の見直しが影響する可能性があります。一度、専門家と現状確認をしておくことをおすすめします。
法人スキームへの「目」が厳しくなった
次に、同族法人を使った不動産節税への税務調査が急増しています。
「会社名義で不動産を持って、低い賃料で社長個人や関連会社に使わせる」という手法は昔からありましたが、今はこれへの否認件数が目に見えて増えています。
問題になるのは、「適正な賃料」から大きく外れた取引です。税務署から「それは実質的な利益供与だ」と認定されると、追徴課税のうえ重加算税35%が上乗せされることになります。元々の節税効果を超える負担になるケースも珍しくありません。
「ずっとこのやり方でやってきた」という会社ほど、今一度、賃料設定の根拠を確認しておく必要があります。
「評価基準の見直し」は終わっていない
3つ目は、やや見えにくいのですが、長期的に一番重要な変化かもしれません。
固定資産税評価額をベースにした相続税評価は、市場価格より低く抑えられることが多く、それを活用した節税手法がいくつも存在していました。ところが国税庁は、この「乖離」を段階的に是正する方向で動いています。
「今年は大丈夫だった」でも「来年も同じ手法が通じる」とは言い切れない時代になっているんです。評価基準は毎年少しずつ変わっていて、かつては合法だった手法が翌年には規制対象、というケースが実際に起きています。
「節税は一度設計したら終わり」という発想が危ない
不動産節税で一番こわいのは、「設計した時点では正しかった」というパターンです。10年前に税理士と一緒に組んだスキームが、いつの間にかグレーゾーンになっている、というのは決して珍しい話ではありません。
不動産を使った節税を検討している方、あるいはすでに実行中の方は、少なくとも年に一度、現在の税制に照らした見直しをしておくことが重要です。
「変わっていないだろう」ではなく「何か変わっていないか確認する」という習慣が、これからの資産防衛には欠かせません。今の不動産節税が来年も有効かどうか、今期中に一度プロの目で確認しておくことを強くおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。