「うちの不動産節税、まだ大丈夫ですよね?」
先日、都内でマンション数棟を法人名義で保有するオーナー社長から、こんな一言をいただきました。「2026年に何か変わるって聞いたんですが、うちには関係ないでしょ」と、半笑いで。
残念ながら、かなり関係あります。むしろ、今すぐ動かないと数百万〜数千万円単位で損をする可能性があります。
タワマン節税の「激変」はすでに起きている
2024年、国税庁は相続税のタワーマンション評価をめぐる通達を改正しました。
それまでのタワマン節税は、「市場価格と相続税評価額の乖離」を利用するものでした。時価1億円のタワマンが、相続税の計算では2,000〜3,000万円として評価される——そういう仕組みを合法的に使っていたわけです。
ところが改正後は、評価額に「最低でも時価の60%以上」というフロアが設けられました。時価1億円なら少なくとも6,000万円として評価される。節税効果は一気に半分以下に圧縮されたのです。
これを「タワマンだけの話」と受け流すのは危険です。国税庁が不動産節税スキーム全体に本格的に網を張り始めたサインとして読むべきです。
次の照準は「法人不動産スキーム」
今まさに税制改正の議題に上がっているのが、法人を活用した不動産節税です。
個人保有の収益不動産を法人に移転して所得を分散する手法、そして減価償却を最大限に使って法人の課税利益を圧縮するスキーム——これらは長年にわたって使われてきた正当な節税手段です。
ただし、「合法だから永遠に使える」という保証はどこにもありません。タワマン改正がまさにそれを証明しました。税務署の法人不動産への調査件数は年々増加しており、「グレーゾーンの活用」に対する目線は確実に厳しくなっています。
改正が施行されてから慌てても遅い。不動産は株式と違い、名義変更や法人設立に最低でも3〜6か月かかります。「改正前に設計を完結させる」という発想が、今は非常に重要です。
今期中にやるべき3つのこと
具体的に何から手をつけるべきか。現時点で私が顧客によくお伝えしているのは以下の3点です。
①現行スキームの有効性を再確認する
数年前に組んだスキームが、現在の税制でも有効かどうかを確認します。2024年改正の影響を受けているのに気づいていないケースは少なくありません。設計した当時は正しくても、今も正しいとは限らない——これが不動産節税の怖いところです。
②法人移転・減価償却設計を今期中に完結させる
法人化を検討しているなら、改正議論が本格化する前の今が動きどきです。移転コスト(登録免許税・不動産取得税・譲渡所得税など)と節税効果のバランスを試算した上で、「やるなら何月までに」というタイムラインを固めてください。
③出口戦略を前倒しで検討する
将来売却や相続を予定している物件は、現行の評価ルールが適用されている今のうちに動くほうが有利な場合があります。特に相続税の評価額が変わる前に動けるかどうか——ここが数千万円規模の差になることがあります。
「まだ大丈夫」が一番危ない
不動産節税で本当に怖いのは、「今のスキームはまだ使えているから問題ない」という思い込みです。
タワマン節税も、改正の直前まで「使えていた」のです。そして改正後、効果は激減しました。法人不動産スキームも、同じ展開をたどる可能性が十分あります。
「今すぐすべてを変えろ」という話ではありません。ただ、現状把握と方向性の決定だけでも今期中に終わらせておくことを強くおすすめします。改正議論が固まる前に動ける余地がある今が、実質的なラストチャンスかもしれません。
まだ顧問税理士と不動産節税の見直しについて話したことがない方は、ぜひこの機会に相談してみてください。数年後の納税額に、今の行動が大きく影響します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。